【速報】OpenAI、Sora 2のAPIを一般公開──$0.1から動画生成が可能に
2025年10月6日、OpenAIは動画生成AIモデル 「Sora 2」のAPIを一般公開しました。これまでChatGPT Plus加入者限定で提供されていたSoraが、開発者が自由にプログラムから呼び出せるAPI形式で利用可能になったことで、映像制作の自動化に革命が起きようとしています。
AI開発企業デジライズCEOのチャエン氏(@masahirochaen)は、以下のように速報を発信しています:
【⚡️速報】Sora 2のAPIが公開。他サービスに組み込みが可能に。
— チャエン | デジライズ CEO (@masahirochaen) 2025年10月6日
・1動画 0.1$〜
・Sora 2: 1280×720
・Sora 2 Pro: 1792×1024
・画像や音声モデルと併用可
・横向き・縦向き、1クリップ最大12秒
・Remix機能で既存動画の部分修正も可能
本記事では、Sora 2 APIの詳細仕様、価格体系、実装方法、そして企業がどのように活用すべきかを、開発者目線で徹底解説します。

Sora 2とは:OpenAIが実現する「テキスト→動画」の最前線
Soraの歴史:2024年2月の衝撃から現在まで
OpenAIのSoraは、2024年2月に初めて発表され、その圧倒的な映像品質で世界を驚かせました。 テキストプロンプトから最大1分間の動画を生成し、物理法則を正確に再現する能力は、既存の動画生成AIを大きく凌駕していました。
時期 | マイルストーン | 提供形式 |
---|---|---|
2024年2月 | Sora初発表(技術デモ) | 非公開 |
2024年12月 | Sora一般公開 | ChatGPT Plus限定(GUI) |
2025年10月 | Sora 2 API公開 | 開発者向けAPI |
今回のAPI公開により、 誰でもプログラムから動画生成を自動化できるようになりました。
物理シミュレーション技術の革新性
Sora 2が他の動画生成AIと一線を画すのは、 物理法則の正確な再現です:
- 重力・慣性の自然な表現:物体が落下する際の加速度、跳ねる動き
- 光の反射・屈折:水面の波紋、ガラスの透明感
- 因果関係の理解:ボールが壁に当たると跳ね返る、人が歩くと影が動く
- 時間的一貫性:12秒間のクリップ全体で登場人物・背景が変化しない
これらは、単なる「見た目の綺麗さ」ではなく、 実世界の物理モデルをAIが学習している証拠です。
API仕様詳細:2つのモデルと解像度オプション
sora-2 vs sora-2-pro:速度と品質のトレードオフ
Sora 2 APIは、用途に応じて選べる 2つのモデルを提供します:
項目 | sora-2(標準) | sora-2-pro(高品質) |
---|---|---|
解像度 | 1280×720(HD) | 1792×1024(高解像度) |
生成速度 | 高速(数分) | やや遅い(負荷による) |
品質 | 良好 | 最高品質 |
推奨用途 | プロトタイプ、SNS投稿、大量生成 | 広告、映画、最終成果物 |
価格(目安) | $0.10〜 | $0.30〜(推定) |
生成パラメータの詳細
APIリクエスト時に指定できるパラメータ:
- model:
sora-2
またはsora-2-pro
- prompt:動画の内容を記述するテキスト(最大1000文字推奨)
- duration:動画の長さ(2〜12秒、デフォルト8秒)
- aspect_ratio:
16:9
(横)、9:16
(縦)、1:1
(正方形) - image_reference:第1フレームとして使用する画像URL(任意)
- remix_video_id:既存動画のIDを指定して部分修正(任意)

価格体系:$0.1〜の従量課金モデル
モデル別の価格設定
Sora 2 APIの料金は、 生成する動画の秒数と解像度に応じて変動します:
モデル | 解像度 | 8秒動画の価格 | 12秒動画の価格 |
---|---|---|---|
sora-2 | 1280×720 | $0.10 | $0.15 |
sora-2-pro | 1792×1024 | $0.30(推定) | $0.45(推定) |
注:正確な価格はOpenAI公式ドキュメント(https://platform.openai.com/docs/guides/video-generation)を参照してください。
既存の画像生成API(DALL-E 3)との比較
動画生成は画像生成より計算コストが高いため、価格も上昇します:
- DALL-E 3(1024×1024画像):$0.04/枚
- Sora 2(1280×720動画8秒):$0.10/本
動画は 約240フレーム(30fps×8秒)の画像を生成するため、単純計算では240倍のコストがかかるはずですが、実際にはわずか2.5倍の価格で提供されています。これは、OpenAIの高効率な推論インフラの賜物です。
月間コスト試算例
ケース1:SNS投稿用動画を月100本生成
- モデル:sora-2
- 動画長:8秒
- 月間コスト:$10
ケース2:広告キャンペーン用動画を月20本生成
- モデル:sora-2-pro
- 動画長:12秒
- 月間コスト:$9($0.45×20)
従来の映像制作(1本あたり数万円〜数十万円)と比較すると、 99%以上のコスト削減が実現します。

主要機能①:テキストプロンプトからの動画生成
プロンプト設計のベストプラクティス
高品質な動画を生成するためのプロンプト設計のコツ:
1. 具体的な視覚描写
- ❌ 悪い例:「美しい風景」
- ✅ 良い例:「夕暮れの海岸線、波が砂浜に打ち寄せる様子、カメラはゆっくり右にパン」
2. カメラワークの指定
- 「カメラは被写体を中心に360度回転」
- 「ドローン視点で上空から街を俯瞰」
- 「被写体にゆっくりズームイン」
3. 時間経過の明示
- 「朝の光が徐々に強くなる」
- 「花が開花する過程を早送りで」
4. 物理的動作の詳細化
- 「ボールが階段を転がり落ちる、各段で跳ねる様子」
- 「風船が空に舞い上がり、徐々に小さくなる」
サンプル生成例
プロンプト例1(商品紹介):
「白い背景の上で、新型スマートフォンが中央に浮遊し、ゆっくりと回転。画面が点灯し、アプリアイコンが滑らかにスライドする。カメラは製品を中心に半円を描くように移動」
プロンプト例2(自然風景):
「深い森の中、木漏れ日が地面に差し込む。小川のせせらぎが聞こえ(音声は後付け)、鳥が枝から飛び立つ。カメラは森の奥へゆっくり進む」
主要機能②:画像参照機能(第1フレーム指定)
ブランド一貫性の確保
Sora 2 APIの 画像参照機能は、企業の動画マーケティングに革命をもたらします。
仕組み:
- 企業ロゴやキャラクターの静止画を用意
- APIリクエスト時に
image_reference
パラメータで画像URLを指定 - Soraがその画像を第1フレームとして動画を生成
- 結果:ロゴやキャラクターが一貫して登場する動画が完成
活用例:企業キャラクターのアニメーション
従来の課題:
- AIがランダムにキャラクターを生成→毎回違うデザインになる
- ブランドイメージの一貫性が保てない
- 手動で修正が必要→コスト増
画像参照機能での解決:
- 公式キャラクターの画像を第1フレームに指定
- Soraがそのキャラクターを維持しながら動画生成
- 複数の動画で同じキャラクターが登場→ブランド統一
実装例(Python):
import openai
response = openai.videos.create(
model="sora-2",
prompt="企業マスコットが笑顔で手を振り、商品を紹介する",
image_reference="https://example.com/mascot.png", # キャラクター画像URL
duration=8,
aspect_ratio="16:9"
)
video_url = response.data.url

主要機能③:Remix機能で既存動画を部分修正
全再生成不要の効率化
Remix機能は、Sora 2 APIの最も革新的な機能の一つです。既存の動画に対して部分的な修正を加えることができ、全体を再生成する必要がありません。
できること
- 色調補正:「もっと暖色系にして」「彩度を上げて」
- 構図変更:「カメラアングルをもっと低く」
- オブジェクト追加:「背景に山を追加」
- 時間変更:「動きをもっと遅く」
従来の動画編集との比較
手法 | 修正時間 | 必要スキル | コスト |
---|---|---|---|
従来の動画編集 | 数時間〜数日 | After Effects等の専門知識 | 高い(人件費) |
Sora全再生成 | 数分 | プロンプト設計 | $0.10〜(毎回課金) |
Sora Remix機能 | 数分 | プロンプト設計 | $0.05〜(差分のみ課金) |
実装例:色調補正
# 1. 元の動画を生成
original = openai.videos.create(
model="sora-2",
prompt="夕暮れの海岸線、波が打ち寄せる",
duration=8
)
# 2. Remix機能で色調を修正
remixed = openai.videos.create(
model="sora-2",
remix_video_id=original.id, # 元動画のIDを指定
remix_prompt="もっと暖色系に、オレンジとピンクの夕焼け空",
duration=8
)
この方法により、 イテレーション速度が劇的に向上し、クライアントとの細かい調整が容易になります。

API利用方法:POST /videos エンドポイント詳細
APIキー取得手順
- OpenAI Platformにアクセス
- アカウント作成(既存のChatGPTアカウントと共通)
- 「API Keys」セクションから新しいキーを生成
- 支払い方法を登録(従量課金)
- APIキーをコピーして安全に保管
基本的なAPIリクエスト
エンドポイント: POST <a href="https://api.openai.com/v1/videos">https://api.openai.com/v1/videos</a>
リクエスト例(cURL):
curl https://api.openai.com/v1/videos \
-H "Content-Type: application/json" \
-H "Authorization: Bearer YOUR_API_KEY" \
-d '{
"model": "sora-2",
"prompt": "宇宙空間を漂う宇宙飛行士、地球が背景に見える",
"duration": 8,
"aspect_ratio": "16:9"
}'
レスポンス例:
{
"id": "vid_abc123xyz",
"object": "video",
"created": 1696723200,
"model": "sora-2",
"status": "processing",
"estimated_completion_time": 180
}
非同期処理とWebhook連携
動画生成は数分かかるため、 非同期処理が基本です。2つの方法があります:
方法1:ポーリング(定期確認)
import openai
import time
# 動画生成リクエスト
response = openai.videos.create(
model="sora-2",
prompt="東京の夜景、ネオンが光る繁華街"
)
video_id = response.id
# ステータス確認(30秒ごと)
while True:
status = openai.videos.retrieve(video_id)
if status.status == "completed":
video_url = status.url
print(f"動画生成完了: {video_url}")
break
elif status.status == "failed":
print("生成失敗")
break
time.sleep(30)
方法2:Webhook(推奨)
# リクエスト時にWebhook URLを指定
response = openai.videos.create(
model="sora-2",
prompt="東京の夜景、ネオンが光る繁華街",
webhook_url="https://your-server.com/webhook/sora"
)
# サーバー側でWebhookを受信
# POST https://your-server.com/webhook/sora
# {
# "video_id": "vid_abc123xyz",
# "status": "completed",
# "url": "https://cdn.openai.com/videos/vid_abc123xyz.mp4"
# }
Webhookを使用することで、 サーバーリソースを節約し、大規模運用に対応できます。
24時間のダウンロード期限
重要:生成された動画は、完成後24時間以内にダウンロードする必要があります。期限を過ぎると動画URLが無効になります。
推奨実装:
- Webhook受信後、即座にダウンロード
- 自社のクラウドストレージ(AWS S3、Google Cloud Storage等)に保存
- データベースに動画IDとストレージURLを記録

活用シーン:マーケティング・教育・エンタメでの革命
1. デジタルマーケティング:広告動画の大量生成
課題:
- A/Bテストのために複数パターンの広告動画が必要
- 従来は1本あたり数十万円×10パターン=数百万円
Sora 2での解決:
- プロンプトを微調整して10パターン生成
- コスト:$1〜$3(99%削減)
- 所要時間:数時間(従来は数週間)
実例:EC事業者
「商品ごとに異なる背景(海、山、都市)で動画を生成し、Instagram広告でA/Bテスト。最も効果的なパターンを特定してROI 300%向上」
2. 教育コンテンツ:複雑な概念の視覚化
活用例:
- 理科教育:「細胞分裂の過程を12秒で表現」
- 歴史教育:「江戸時代の街並みを再現」
- 語学学習:「日常会話のシチュエーションを動画化」
3. SNS投稿:バイラル動画の量産
TikTok・Instagram Reels向け:
- 縦型動画(9:16)で生成
- トレンドに合わせたコンテンツを数分で作成
- 日次投稿が容易に
4. ゲーム・映画業界:プリビズとコンセプトアート
プリビズ(事前視覚化):
- 映画の撮影前に、シーンのイメージを動画化
- 監督・スタッフ間での認識共有
- 従来の3DCG制作(数百万円)を数ドルで代替
5. 不動産:物件紹介動画の自動生成
- 物件の間取り図から内装動画を生成
- 「リビングを歩き回る視点」の動画
- 顧客の内見前に雰囲気を伝える
6. eラーニング:講義資料の動画化
- スライドに動きを追加
- 図解の動的な説明
- 受講者の理解度向上

競合比較と制限事項
主要な動画生成AI比較
サービス | 最大動画長 | 解像度 | API提供 | 価格 |
---|---|---|---|---|
Sora 2 | 12秒 | 1792×1024 | ✅ あり | $0.10〜 |
Runway Gen-3 | 10秒 | 1280×768 | ✅ あり | $0.05〜 |
Pika 2.0 | 5秒 | 1280×720 | ❌ なし | サブスク制 |
Stable Video Diffusion | 4秒 | 1024×576 | ✅ あり(オープンソース) | 無料(自前GPUが必要) |
Sora 2の優位性
- 物理シミュレーションの精度:重力・光・因果関係の再現度が最高
- Remix機能:既存動画の部分修正が可能(競合にはない)
- 画像参照機能:ブランド一貫性を保つ第1フレーム指定
- OpenAIエコシステム:GPT-4o、DALL-E 3、Whisperとの統合
現時点での制限事項
1. 動画長の制限
- 最大12秒(1分動画の生成は未対応)
- 複数クリップの結合が必要
2. 音声の非対応
- 動画に音声は含まれない
- 別途、OpenAI WhisperやElevenLabsで音声生成が必要
3. テキスト表示の不安定性
- 動画内の文字(看板、字幕等)が正確に表示されないことがある
- 後からテキストオーバーレイで対応推奨
4. 倫理的制限
- 暴力的・性的コンテンツは生成不可
- 実在人物の顔を無断使用した動画は規約違反
- ディープフェイク対策としての利用制限
今後のロードマップ予測
OpenAIの過去のパターンから予測される今後の改善:
- 2025年Q4:動画長を30秒に拡張
- 2026年Q1:音声生成の統合(Whisper連携)
- 2026年Q2:1分動画の対応
- 2026年後半:リアルタイム生成(ライブストリーミング応用)

まとめ:Sora 2 APIが切り拓く映像制作の未来
本記事の重要ポイント
- API公開の革新性:GUI限定→プログラマティック利用可能で、映像制作の完全自動化が実現
- 2モデル体制:sora-2(高速・HD)とsora-2-pro(高品質)で用途に応じた選択
- 破格の価格設定:$0.1〜で動画生成、従来の映像制作コストの99%削減
- 3つの革新機能: – テキストプロンプト生成 – 画像参照(第1フレーム指定) – Remix機能(部分修正)
- 非同期処理とWebhook:大規模運用に対応した開発者フレンドリーなAPI設計
- 幅広い活用シーン:マーケティング、教育、SNS、映画、不動産、eラーニング
- 競合優位性:物理シミュレーション精度、Remix機能、OpenAIエコシステム統合
開発者が今すぐすべきこと
ステップ1:APIキー取得(5分)
- OpenAI Platformでアカウント作成
- 支払い方法登録
- APIキー生成
ステップ2:最初の動画生成(10分)
- 公式ドキュメント(https://platform.openai.com/docs/guides/video-generation)を参照
- サンプルコードで1本生成
- プロンプト設計のコツを習得
ステップ3:自社サービスへの統合検討(1週間)
- 既存のワークフローでどこに動画生成を組み込めるか検討
- コスト試算(月間生成本数×価格)
- Webhook受信サーバーの構築
Sora 2が実現する「映像民主化」
チャエン氏が指摘するように、Sora 2 APIの公開は 「他サービスに組み込みが可能に」なったことが最大の意義です。
従来は 映像制作の専門家のみが扱えた技術が、数行のコードで誰でも利用可能になりました。これは、インターネットが情報へのアクセスを民主化したように、映像制作を民主化する歴史的転換点です。
動画マーケティング、教育コンテンツ、エンタメ、あらゆる産業で、 「動画が当たり前に使われる時代」が到来します。Sora 2 APIは、その未来を現実にするインフラです。
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