【速報】Perplexity、AIブラウザ「Comet」を一般公開──無料で使える業務自動化の決定版
2025年10月、AI検索エンジンPerplexityが開発したAI搭載ブラウザ 「Comet(コメット)」が一般公開されました。無料プランでも利用可能なこのブラウザは、メール返信、フォーム入力、リサーチ作業など、これまで複雑なRPA(Robotic Process Automation)を組まなければ実現できなかった業務自動化を、ブラウザ上で完結させる革新的なツールです。
AI開発企業デジライズCEOのチャエン氏(@masahirochaen)は、Cometについて以下のように評価しています:
PerplexityのAI搭載ブラウザ「Comet」解説記事公開。
— チャエン | デジライズ CEO (@masahirochaen) 2025年10月5日
Cometはかなり応用の幅が広い。
左のウェブ画面を右のAIアシスタントで要約したり、直接操作できたりとアイディア次第で業務効率繋がる。難しいRPA組まずとCometで完結可能。
ManusやChatGPTのAgentは架空ブラウザなので、人間との共存に向いていない。Cometはリアルブラウザなので人間の操作とAIでの自動操作を行ったり来たりで結構使いやすい。
本記事では、Cometの革新性、従来のAIエージェントとの決定的な違い、具体的な活用方法、そして無料で始める手順まで、実践的に解説します。

Cometとは何か:Perplexityが定義する「リアルブラウザAI」の概念
基本コンセプト:人間とAIが協働するブラウザ体験
Cometは、従来のウェブブラウザに AI自動操作機能を統合した次世代ブラウザです。最大の特徴は、以下の3点にあります:
- リアルブラウザベース:架空の仮想ブラウザではなく、実際のウェブページを表示・操作
- 左右分割UI:左側に通常のウェブ画面、右側にAIアシスタントパネル
- シームレスな切り替え:人間の手動操作とAI自動操作を自由に行き来
Perplexityの戦略:検索からブラウザ操作へ
Perplexityは2022年のローンチ以来、 「回答を直接提供するAI検索エンジン」として成長してきました。Cometは、その次の段階として「検索結果を読むだけでなく、実行する」機能を実現したものです。
段階 | Perplexity製品 | 提供価値 |
---|---|---|
第1段階 | Perplexity検索 | 質問に対する直接的な回答 |
第2段階 | Perplexity Pages | 調査結果の自動記事化 |
第3段階 | Comet(AIブラウザ) | タスクの自動実行 |

従来のAIエージェントとの決定的な違い:「リアルブラウザ」vs「架空ブラウザ」
Manus・ChatGPT Agentが抱える根本的問題
チャエン氏が指摘する 「架空ブラウザ」の限界は、多くのユーザーが見落としている重要なポイントです。
OpenAIの OperatorやAnthropicのComputer Use、そしてGoogleのProject Marinerなど、2024-2025年に登場したAIエージェントは、いずれも以下のような仕組みで動作します:
- AIが仮想環境内でブラウザを起動
- 画面をスクリーンショット撮影
- 画像認識でページ内容を理解
- クリック・入力操作を自動実行
この方式の 致命的な欠点が、「人間が途中で介入できない」点です。
Cometの「リアルブラウザ」アプローチ
対照的に、Cometは 実際のChromiumエンジン上で動作するため、以下のような柔軟性を実現:
シナリオ | 架空ブラウザ(Operator等) | リアルブラウザ(Comet) |
---|---|---|
AIが途中で詰まった場合 | ❌ タスク失敗、最初からやり直し | ✅ 人間が手動で続行、AIに戻す |
微調整が必要な場合 | ❌ 指示を変えて再実行 | ✅ その場で修正、AIに引き継ぎ |
ログイン認証が必要 | ❌ AIに認証情報を共有(リスク) | ✅ 人間がログイン後、AIに作業委任 |
複数タブ管理 | ❌ AIの仮想環境内のみ | ✅ 通常のブラウジングと同時進行 |
この違いが、実務での 使い勝手を根本的に変えるのです。

Cometでできること:7つの実務活用シーン
チャエン氏が紹介する具体例を詳しく見ていきます。
1. メール返信の自動化
従来のRPAでの課題:
- メールクライアントごとに別々のスクリプト作成が必要
- UIが変更されると動作しなくなる
- 返信内容の文脈理解ができない
Cometでの実現:
- 受信メールを表示した状態でCometに指示:「このメールに丁寧に返信して」
- Cometがメール内容を理解し、適切な返信文を生成
- 人間が確認・微調整後、送信ボタンクリックまで自動化
2. フォーム入力の効率化
会員登録、問い合わせフォーム、申込書など、繰り返し発生するフォーム入力を 「このフォームに情報を入力して」と指示するだけで完了します。
具体例:
- 名前、住所、電話番号などの基本情報
- 過去のメールから情報を自動抽出して入力
- ドロップダウンやラジオボタンの適切な選択
3. Notionデータベースへの自動入力
活用シーン:
- ウェブで見つけた情報をNotionのプロジェクト管理DBに追加
- 定期的な業務報告をテンプレートに従って入力
- 複数のソースから情報を集約してNotionに整理
4. 商品購入・予約の代行
ECサイトでの商品検索から購入、レストラン予約、チケット取得まで、 購入フローの自動化が可能です。
安全性の確保:
- 決済情報の入力は人間が行う(セキュリティ維持)
- 購入確認画面で人間が最終チェック
- AIは検索・選択・カート追加までを担当
5. リサーチ→スプレッドシートまとめ
従来3時間かかる作業が30分に短縮される実例:
- 競合サイト20社のリストを渡す
- Cometが各サイトを巡回し、価格・特徴・レビューを収集
- Google スプレッドシートに整形して自動入力
- 人間が最終的なデータクレンジングと分析
6. 書類作成の効率化
- Google Docs / Microsoft Wordでの報告書作成
- プレゼンテーション資料のドラフト生成
- 議事録の自動整形
7. ウェブページの要約と情報抽出
右側のAIパネル活用:
- 長文記事を3行で要約
- 技術ドキュメントから手順だけ抽出
- ニュースサイトから重要な数値データをリスト化

RPAからCometへの移行:なぜ「難しいRPAを組まずに完結」できるのか
従来のRPAが抱える3つの課題
1. 専門知識の壁
- UiPath、Power Automate等のツール習得に数週間〜数ヶ月
- セレクタ設定、変数管理、エラーハンドリングなど高度な知識が必要
- 社内にRPA専門人材が不可欠
2. メンテナンスコスト
- ウェブサイトのUI変更で動作しなくなる
- 修正のたびにスクリプト書き換えが必要
- 複数のワークフローを管理するコストが膨大
3. 柔軟性の欠如
- 想定外の状況に対応できない
- 人間の判断が必要な場面でストップ
- 例外処理の実装が複雑
Cometが実現する「自然言語RPA」
Cometは、これらの課題を 大規模言語モデル(LLM)の理解力で解決します:
要素 | 従来のRPA | Comet |
---|---|---|
設定方法 | フローチャート作成、変数設定 | 自然言語指示のみ |
UI変更への対応 | スクリプト全面書き換え | 自動適応(AIが新UIを理解) |
例外処理 | 全パターンを事前定義 | AIが状況判断して対処 |
導入コスト | 数十万〜数百万円 | 無料(Pro版でも月額$20) |

実際の使い方:インストールから基本操作まで
インストール手順(所要時間:3分)
- 公式サイトへアクセス
https://www.perplexity.ai/comet にアクセス - ダウンロード
Mac、Windows、Linuxに対応。使用OSに合わせてダウンロード - インストール実行
ダウンロードしたファイルを開き、画面の指示に従ってインストール - Perplexityアカウントでログイン
既存のPerplexityアカウントでログイン(Google/GitHubアカウント連携も可能) - Chromeブックマークのインポート(任意)
設定画面から「Import from Chrome」を選択すると、 数秒でブックマークが全て移行
基本的な使い方:3つのモード
1. 通常ブラウジングモード
- Chrome・Edgeと同様に普通のブラウザとして使用
- 右側のAIパネルは折りたたみ可能
2. AI要約モード
- ウェブページを開いた状態で右パネルのAIに質問
- 「このページの要点を3つにまとめて」などの指示
3. AI自動操作モード
- 「〇〇というキーワードで商品を検索して、価格順に並べて」
- 「このフォームに以下の情報を入力:名前:田中太郎、メール:…」
- Cometが自動的にクリック・入力を実行
チャエン氏の解説動画
詳細な使い方は、チャエン氏のYouTube動画で解説されています:
YouTube解説動画
「Comet使い方からインストール方法はこちらのYoutubeにて解説しております。是非見てください。Comet無料プランでも困らず大体のことができます。」
– チャエン氏(YouTube動画を見る)

無料プランで十分使える理由:Pro版との違いと選び方
無料プランの機能範囲
チャエン氏が 「Comet無料プランでも困らず大体のことができます」と述べているように、多くのユースケースで無料版で十分です。
機能 | 無料プラン | Pro版($20/月) |
---|---|---|
AI自動操作 | ✅ 月50タスクまで | ✅ 無制限 |
ページ要約 | ✅ 無制限 | ✅ 無制限 |
通常ブラウジング | ✅ 制限なし | ✅ 制限なし |
AI検索(Perplexity) | ✅ 統合 | ✅ 統合 |
高度なAIモデル | ❌ | ✅ GPT-4o、Claude Sonnet 4.5選択可 |
優先サポート | ❌ | ✅ |
無料プランで月50タスクの使い方例
典型的な1ヶ月の使用パターン:
- 週1回のリサーチ作業(スプレッドシートまとめ):4タスク
- 週2回のフォーム入力自動化:8タスク
- 週3回のメール返信補助:12タスク
- 月10件のNotionデータ入力:10タスク
- その他の臨時作業:16タスク
合計: 50タスクでちょうど収まります。
Pro版へのアップグレードが推奨されるケース
- 日常的に大量の定型業務を自動化したい
- より高度なAIモデル(GPT-4o、Claude Sonnet 4.5)での精度向上が必要
- チームメンバー全員で使用したい

ブラウザAIの未来:Chrome・Edge・Safariの次の一手
チャエン氏の予測:「次のブームはブラウザAI」
チャエン氏のX投稿で指摘されている 「Chromeなど次のブームはブラウザAIですね」という予測は、既に現実化しつつあります。
主要ブラウザのAI戦略
1. Google Chrome
- 2025年9月、Chrome拡張機能として「Gemini in Chrome」を発表
- ページ要約、フォーム入力補助、翻訳機能を統合
- ただし、Cometのような自動操作機能は未実装
2. Microsoft Edge
- Copilotを右サイドバーに統合済み
- Shopping Assistant、PDF要約など部分的な自動化
- 2025年内に「Edge Actions」として自動操作機能を追加予定
3. Apple Safari
- 2025年6月のWWDCで「Safari Intelligence」を発表
- Siri統合による音声操作
- プライバシー重視のアプローチで、自動操作は慎重
4. Arc Browser
- The Browser Company開発のArc Browserは、2024年から「Browse for Me」機能を実装
- 複数サイトを巡回してまとめページを自動生成
- Cometと同様の方向性だが、自動操作の範囲は限定的
Cometの先行者優位
ブラウザ | AI統合度 | 自動操作 | リリース時期 |
---|---|---|---|
Comet | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ✅ フル実装 | 2025年10月 |
Chrome(Gemini) | ⭐⭐⭐ | △ 一部のみ | 2025年9月 |
Edge(Copilot) | ⭐⭐⭐⭐ | △ 2025年内追加予定 | 2023年〜 |
Arc Browser | ⭐⭐⭐ | △ 限定的 | 2024年〜 |
Safari Intelligence | ⭐⭐ | ❌ 未実装 | 2025年後半予定 |
現時点で、 Cometは唯一フル機能の自動操作を実現したAIブラウザです。

Cometのセキュリティとプライバシー:企業利用での懸念点
AI自動操作に伴うリスク
業務での本格活用を考える際、以下のセキュリティ面を確認する必要があります:
1. 認証情報の扱い
- CometはChromiumベースなので、Chromeと同様のパスワード管理
- AIに直接パスワードを渡す必要はなく、人間が事前ログイン可能
- ただし、自動ログイン機能使用時は慎重に
2. データのアップロード
- AIがページ内容を理解する際、Perplexityのサーバーにデータ送信
- 機密情報を含むページでの使用は避けるべき
- Proプラン契約時に「Enterprise」オプションでオンプレミス対応予定
3. 誤操作のリスク
- AIが意図しない操作をする可能性
- 重要な操作(購入確定、データ削除等)の前に人間確認を推奨
- 設定で「重要操作は必ず確認」オプション有効化
推奨される使い方
- 社内業務での使用は、非機密データの処理に限定
- 顧客情報、財務データなど機密性の高い情報は手動操作
- 段階的導入:まず個人タスクで試験運用→チーム展開

Cometの課題と今後の改善期待点
現時点での制限事項
1. 日本語サイトでの精度
- 英語サイトと比べて日本語サイトでの自動操作精度がやや低い
- 特に複雑なフォーム(全角・半角混在、特殊文字)で失敗率上昇
- 改善予定:2025年Q4に日本語最適化アップデート予定
2. 複雑な多段階タスク
- 3ステップ以上の複雑な操作で途中で止まることがある
- 例:「商品検索→比較→カート追加→住所入力→決済」の全自動化は困難
- 現実的には2-3ステップごとに人間が確認する運用が安定
3. モバイル版の未提供
- 現在デスクトップ版のみ(Mac、Windows、Linux)
- iOS・Android版は2026年予定
今後のアップデート予定
Perplexity公式発表によると、以下の機能が開発中:
- マルチモーダル対応:画像・動画の内容理解と操作
- 音声操作:音声指示でのブラウザ自動操作
- チーム機能:共有ワークフロー、タスクテンプレート
- API提供:外部サービスとの連携自動化
まとめ:Cometが切り拓く「AIネイティブブラウジング」の未来
Perplexity Cometは、 「ブラウザでできることは全てAIが代行できる」という新しいパラダイムを提示しました。
本記事の重要ポイント
- リアルブラウザの優位性:ManusやChatGPT Agentの「架空ブラウザ」と異なり、人間とAIの協働が可能
- RPA不要の自動化:複雑なスクリプト不要で、自然言語指示のみで業務自動化
- 7つの実用シーン:メール、フォーム、Notion、購入、リサーチ、書類、要約
- 無料で十分使える:月50タスクの無料枠で大半のユースケースをカバー
- ブラウザAI競争の先頭:Chrome、Edge、Safari等の大手より先行
誰がCometを使うべきか
強く推奨される人:
- 日常的にウェブでの定型作業が多いビジネスパーソン
- RPAを導入したいが専門知識がない中小企業
- リサーチ業務の効率化を求めるマーケター・アナリスト
- 最新のAIツールを試したいアーリーアダプター
慎重に検討すべき人:
- 機密情報を扱う業務が中心(金融・医療等)
- 完全自動化を求める(現時点では人間の確認が必要)
今すぐ始めるための3ステップ
- Comet公式サイトからダウンロード(3分)
- チャエン氏のYouTube解説動画で使い方を学習(15分)
- まずは簡単なタスク(ページ要約、フォーム入力)から試験運用(30分)
Cometは、 「AIが人間の作業を奪う」のではなく「AIが人間の面倒な作業を代行する」という理想的な協働関係を実現します。無料で始められるため、まずは実際に触れてその可能性を体験してください。
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