Anthropicが2025年10月、Claude Codeに/pluginコマンドという革新的な機能を追加しました。これは単なるプラグインシステムではありません。たった1コマンドでインストールし、チーム全体で共有できる、軽量で柔軟な拡張機能システムです。
プラグインには 4つのタイプがあります:
- スラッシュコマンド:頻繁に使う操作をショートカット化
- サブエージェント:特定タスク専用のAIエージェントをインストール
- MCP(Model Context Protocol)サーバー:ツールやデータソースと接続
- Hooks:Claude Codeの動作をカスタマイズ
これにより、 「チームのコーディング標準の強制」「社内ツールとの統合」「生産性ワークフローの共有」が、従来の数週間の作業から数分で実現できます。
本記事では、Anthropic公式の実際に利用可能なプラグイン5つ( commit-commands, feature-dev, pr-review-toolkit, agent-sdk-dev, security-guidance)を中心に、各プラグインタイプの具体的なインストール例、活用方法、自作方法まで徹底解説します。

/pluginコマンドとは何か?──従来のプラグインシステムとの決定的な違い
1コマンドでインストール完了
Claude Codeの /pluginコマンドは、VS Codeの拡張機能やnpmパッケージとは異なるアプローチを採用しています:
項目 | 従来のプラグインシステム | Claude Code /plugin |
---|---|---|
インストール方法 | GUI操作、設定ファイル編集 | 1コマンド(/plugin install) |
設定の共有 | 複雑(JSONファイル、ドキュメント化) | マーケットプレイスURL共有のみ |
有効/無効切り替え | 再起動が必要な場合あり | 即座に切り替え可能 |
複雑さ管理 | インストール後は常に有効 | 必要な時だけON |
基本的な使い方
まず、プラグインを利用するには マーケットプレイスの追加が必要です。マーケットプレイスは、プラグインの配布元を指定するもので、GitHub上で公開されているリポジトリを指定します。
マーケットプレイスの追加方法(2つの形式):
# 方法1: 短縮形(推奨)
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
# 方法2: 完全なGitHub URL形式
/plugin marketplace add https://github.com/anthropics/claude-code
どちらの形式でも同じ結果になります。短縮形の方が入力が簡単なため推奨されていますが、完全なURLを使うと、どのリポジトリからプラグインを取得しているかが一目瞭然です。
マーケットプレイス追加後のワークフロー:
# 1. マーケットプレイスを追加(最初の1回のみ)
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
# 2. 利用可能なプラグインを一覧表示
/plugin list --available
# 3. プラグインをインストール
/plugin install feature-dev
# 4. プラグインを有効化
/plugin enable feature-dev
# 5. プラグインを無効化(必要な時のみ)
/plugin disable feature-dev
これだけです。設定ファイルの編集も、複雑なセットアップも不要です。マーケットプレイスは一度追加すれば、そこから複数のプラグインをインストールできます。

利用可能な公式プラグイン一覧──Anthropic厳選の5つ
2025年10月時点で、Anthropic公式マーケットプレイスから利用可能なプラグインは以下の5つです:
プラグイン名 | タイプ | カテゴリ | 主な機能 |
---|---|---|---|
commit-commands | スラッシュコマンド | productivity | Gitコミットワークフロー自動化 |
feature-dev | サブエージェント | development | 包括的な機能開発ワークフロー |
pr-review-toolkit | サブエージェント(6個) | productivity | 6つの専門的PRレビューエージェント |
agent-sdk-dev | サブエージェント | development | Agent SDK開発支援 |
security-guidance | Hook | security | セキュリティリマインダー |
これらは全て Anthropic公式が審査・メンテナンスしているプラグインで、品質と安全性が保証されています。
プラグインタイプ1:スラッシュコマンド──頻繁な操作を1コマンドに圧縮
スラッシュコマンドとは?
スラッシュコマンドは、頻繁に使う操作を独自のショートカットとして定義できる機能です。複雑なワークフローを1つのコマンドにまとめることができます。
公式プラグイン:commit-commands
commit-commandsは、Gitコミットに関連する一連のワークフローを自動化するプラグインです。
インストール方法:
# 公式マーケットプレイスを追加
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
# commit-commandsをインストール
/plugin install commit-commands
# 利用可能なコマンドを確認
/plugin info commit-commands
主な機能:
- スマートコミットメッセージ生成:変更内容を分析し、適切なコミットメッセージを自動生成
- コミット前チェック:lint、テスト、フォーマットを自動実行
- Conventional Commits準拠:チーム標準のコミット形式を強制
- 変更内容の要約:diffを分析し、何が変わったかを説明
実際の使用例:
# 変更をコミット(メッセージ自動生成)
/commit "ユーザー認証機能を追加"
→ commit-commandsが変更内容を分析し、詳細なメッセージを生成
# 出力例:
# feat(auth): add user authentication with JWT
#
# - Implement JWT-based authentication middleware
# - Add login/logout endpoints
# - Create user session management
# - Add password hashing with bcrypt
# - Implement token refresh mechanism
自作スラッシュコマンドの作成
独自のスラッシュコマンドを作成するには、.claude/commands/
ディレクトリにMarkdownファイルを配置します:
# .claude/commands/api-test.md
---
name: api-test
description: APIエンドポイントのテストを生成
---
以下のAPIエンドポイントに対して、包括的なテストスイートを生成してください:
- 正常系のテスト
- エラーハンドリングのテスト
- エッジケースのテスト
- レスポンスバリデーション
これで/api-test
コマンドが使えるようになります。

プラグインタイプ2:サブエージェント──特定タスク専用のAIエージェント
サブエージェントとは?
サブエージェントは、特定の開発タスクに特化したAIエージェントです。Claude Codeの汎用的な能力に加えて、専門知識を持つエージェントをインストールできます。
公式マーケットプレイスには、現在3つのサブエージェントプラグインがあります:
- feature-dev:包括的な機能開発ワークフロー
- pr-review-toolkit:6つの専門的レビューエージェント
- agent-sdk-dev:Agent SDK開発支援
1. feature-dev:包括的な機能開発エージェント
feature-devは、要件定義から実装、テスト、ドキュメント作成まで、機能開発の全工程を支援するエージェントです。
インストール方法:
# インストール
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
/plugin install feature-dev
# 使い方
/agent feature-dev "ユーザー認証機能を実装してください"
feature-devの主な機能(典型的な使用例):
- 要件定義:必要な機能を整理し、実装範囲を明確化
- 設計:アーキテクチャ、データモデル、API設計
- 実装:フロントエンド+バックエンドのコード生成
- テスト:ユニットテスト、統合テスト自動生成
- ドキュメント:API仕様書、README更新
※具体的な動作は使用状況により異なります。詳細は公式リポジトリを参照してください。
実際の使用例:
# 例1:大規模な新機能追加
/agent feature-dev "決済機能を実装してください。Stripe APIを使用し、定期課金にも対応する必要があります。"
# feature-devの動作:
# 1. Stripe API統合の設計書を作成
# 2. Payment, Subscription等のモデル実装
# 3. 決済フロー、Webhook処理の実装
# 4. テストスイート生成(モック含む)
# 5. API仕様書、統合ガイド作成
# 例2:既存機能の拡張
/agent feature-dev "ユーザープロフィール編集機能にアバター画像アップロードを追加してください"
# feature-devの動作:
# 1. 現在のプロフィール機能を分析
# 2. 画像アップロード処理の設計
# 3. S3/CloudStorage統合実装
# 4. 画像リサイズ、バリデーション実装
# 5. 既存テストの更新、新規テスト追加
feature-devの特徴:
- 既存コードベースの理解:プロジェクト構造、命名規則を自動分析
- 段階的な実装:一度に全て書くのではなく、確認しながら進行
- 依存関係の管理:必要なライブラリのインストール、設定
- エッジケースへの配慮:エラーハンドリング、バリデーション徹底
2. agent-sdk-dev:Agent SDK開発エージェント
agent-sdk-devは、Claude Agent SDKを使った開発を支援するエージェントです。サブエージェントの開発、MCP Server実装をサポートします。
インストール方法:
# インストール
/plugin install agent-sdk-dev
# 使い方
/agent agent-sdk-dev "MCPサーバーを作成して、社内のドキュメント管理システムと統合したい"
agent-sdk-devの支援内容:
- Agent SDKのセットアップ:プロジェクト初期化、依存関係設定
- サブエージェント開発:エージェントの構造、ツール定義支援
- MCP Server実装:プロトコル準拠のサーバー実装
- テスト支援:エージェント/サーバーのテストコード生成
- デプロイ支援:パッケージング、公開準備
実際の使用例:
# 例:カスタムサブエージェント開発
/agent agent-sdk-dev "社内のコーディング規約をチェックするサブエージェントを作成したい"
# agent-sdk-devの動作:
# 1. Agent SDKプロジェクト初期化
# 2. ESLint、Prettierルール読み込み処理実装
# 3. 規約違反検出ロジック実装
# 4. Claude Codeへのフィードバック機能実装
# 5. テストケース生成
# 6. .claude-plugin/marketplace.json作成
3. pr-review-toolkit:6つの専門的レビューエージェント
pr-review-toolkitについては、次のセクションで詳細に解説します。

人気プラグイン詳細解説:pr-review-toolkit──包括的PRレビューの実現
pr-review-toolkitとは?
pr-review-toolkitは、Anthropic公式の最も包括的なPRレビュープラグインです。6つの専門エージェントを含み、コードレビューのあらゆる側面を自動化します。
重要な注意点:インストール後はClaude Codeを再起動する必要があります。
インストール方法
# 公式マーケットプレイスを追加
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
# pr-review-toolkitをインストール
/plugin install pr-review-toolkit
# Claude Codeを再起動(重要!)
/restart
含まれる6つの専門エージェント
エージェント名 | 専門分野 | 自動起動キーワード |
---|---|---|
comment-analyzer | コメント・ドキュメント分析 | “コメント” “ドキュメント” |
pr-test-analyzer | テストカバレッジ分析 | “テスト” “カバレッジ” |
silent-failure-hunter | エラーハンドリング分析 | “エラーハンドリング” |
type-design-analyzer | 型設計分析 | “型設計” “型” |
code-reviewer | 一般的コードレビュー | “レビュー” “チェック” |
code-simplifier | コード簡素化 | “簡素化” “シンプル” |
1. comment-analyzer:コメント・ドキュメント分析
チェック内容:
- コメントと実際のコードの一致性
- ドキュメントの完全性
- 古くなったコメント(outdated comments)の検出
使い方例:
# 自動検出(キーワード含む)
"コメントが正確かチェックして"
"追加したドキュメントをレビューして"
"APIドキュメントが実装と一致しているか確認"
2. pr-test-analyzer:テストカバレッジ分析
チェック内容:
- テストカバレッジの品質評価
- 重要なテスト不足の指摘
- エッジケースのテストカバレッジ
使い方例:
# 自動検出
"テストが十分かチェックして"
"テストカバレッジをレビューして"
"重要なテスト不足はありますか?"
"認証機能のエッジケースをテストしているか確認"
3. silent-failure-hunter:エラーハンドリング分析
チェック内容:
- catchブロックでの無視されたエラー
- 不適切なエラーハンドリング
- エラーログの欠如
使い方例:
# 自動検出
"エラーハンドリングをレビューして"
"サイレントエラーをチェックして"
"APIクライアントのエラー処理を分析"
検出例:
// ❌ Silent Failure(検出対象)
try {
await fetchUser();
} catch (err) {
// エラーが無視されている
}
// ✅ 適切なエラーハンドリング
try {
await fetchUser();
} catch (err) {
logger.error('Failed to fetch user', err);
throw new UserFetchError(err);
}
4. type-design-analyzer:型設計分析
評価基準(1-10スコア):
- 型のカプセル化:内部実装の隠蔽度
- 不変条件の表現:型で制約を表現しているか
- 型の有用性:利用者にとっての使いやすさ
使い方例:
# 自動検出
"UserAccount型の設計をレビューして"
"この型設計を分析して"
"Payment型が適切に設計されているか確認"
分析例:
// ❌ 弱い型設計(スコア: 3/10)
type User = {
id: string;
email: string;
age: number; // 負の値が許容される
}
// ✅ 強い型設計(スコア: 9/10)
type PositiveNumber = number & { __brand: 'positive' };
type Email = string & { __brand: 'email' };
type User = {
id: string;
email: Email;
age: PositiveNumber; // 型レベルで制約
}
5. code-reviewer:一般的コードレビュー ⭐(最も使用頻度が高い)
チェック内容:
- CLAUDE.mdへの準拠チェック
- コーディングスタイル違反
- 潜在的なバグ検出
- コード品質全般
使い方例:
# 最も基本的な使い方
"最近の変更をレビューして"
"コミット前にこのコードをチェックして"
"PRを作成する前にレビューお願いします"
6. code-simplifier:コード簡素化
チェック内容:
- コードの明瞭性
- 不要な複雑さの指摘
- 冗長なコードの削減
使い方例:
# 自動検出
"このコードを簡素化して"
"もっと明確にして"
"この関数をシンプルにできますか?"
簡素化例:
// Before(冗長)
function getUserStatus(user: User) {
if (user.isPremium === true) {
return 'premium';
} else if (user.isPremium === false) {
return 'free';
} else {
return 'unknown';
}
}
// After(簡素化)
function getUserStatus(user: User) {
return user.isPremium ? 'premium' : 'free';
}
実際の使用例:包括的PRレビュー
シナリオ:新機能開発完了後のPR作成前レビュー
# 段階的なレビュー依頼
"PRを作成する準備ができました。以下をお願いします:
1. テストカバレッジをレビュー
2. サイレントエラーをチェック
3. コメントの正確性を確認
4. 新しい型をレビュー
5. 一般的なコードレビュー"
このように依頼すると、pr-review-toolkitは自動的に:
- pr-test-analyzer が起動 → テストカバレッジ分析
- silent-failure-hunter が起動 → エラーハンドリング分析
- comment-analyzer が起動 → ドキュメント整合性チェック
- type-design-analyzer が起動 → 型設計評価
- code-reviewer が起動 → 総合的なコードレビュー
推奨ワークフロー:6段階のレビュープロセス
- コードを書く → code-reviewerで品質チェック
- 問題修正 → silent-failure-hunterでエラー処理確認
- テスト追加 → pr-test-analyzerでカバレッジ検証
- ドキュメント追加 → comment-analyzerで整合性確認
- レビュー通過 → code-simplifierで磨き上げ
- PR作成
各段階の目安時間:
- コード品質チェック:2-3分
- エラー処理確認:1-2分
- カバレッジ検証:2-3分
- ドキュメント確認:1-2分
- 簡素化提案:1-2分
合計: 7-13分で包括的なPRレビューが完了
pr-review-toolkit活用のベストプラクティス
1. 毎回すべてのエージェントを使う必要はない
- 小さな修正 → code-reviewerのみ
- エラー処理追加 → silent-failure-hunter + code-reviewer
- 大規模機能追加 → 全エージェント活用
2. キーワードを自然に含める
- “テストカバレッジをレビューして” → 自動検出
- 専門用語を使わなくても、エージェントが適切に判断
3. Claude Code再起動を忘れずに
- インストール直後は必ず
/restart
実行 - エージェントが認識されない場合も再起動で解決
プラグインタイプ3:MCP(Model Context Protocol)サーバー──ツール・データソース統合
MCPとは何か?
MCP(Model Context Protocol)は、Claude Codeが外部ツールやデータソースにアクセスするための標準プロトコルです。
重要な注意点:MCPサーバーは、プラグインとは別にセットアップが必要です。現在の公式プラグインリストには、すぐに使えるMCPプラグインは含まれていません。
MCPの仕組み
MCPサーバーは、以下のような外部システムとの統合を可能にします:
- 社内のドキュメント管理システム
- Jira、Linear等のプロジェクト管理ツール
- Slack、Microsoft Teams等のコミュニケーションツール
- PostgreSQL、MongoDB等のデータベース
- GitHub、GitLab等のバージョン管理システム
MCPサーバーのセットアップ
MCPサーバーは、通常以下の手順でセットアップします:
# 1. MCPサーバーのインストール(npmパッケージとして)
npm install @modelcontextprotocol/server-github
# 2. Claude Codeの設定ファイル(.claude/mcp.json)に追加
{
"mcpServers": {
"github": {
"command": "npx",
"args": [
"@modelcontextprotocol/server-github"
],
"env": {
"GITHUB_TOKEN": "your_token_here"
}
}
}
}
# 3. Claude Codeを再起動
/restart
MCPサーバーの活用例
例:GitHubとの統合
# MCPサーバーを通じてGitHub APIにアクセス
"最新のPRのレビューコメントを確認してください"
# Claude CodeがMCPサーバー経由でGitHubから情報取得
# PRのコメントを分析し、対応すべき項目を整理
例:データベーススキーマの参照
# PostgreSQL MCPサーバーをセットアップ後
"usersテーブルのスキーマを確認して、Prismaモデルを生成してください"
# Claude CodeがMCPサーバー経由でDBスキーマを取得
# Prismaスキーマを自動生成
自作MCPサーバーの作成
Agent SDK(@anthropic/agent-sdk)を使って、独自のMCPサーバーを作成できます:
📝 注意: 以下は実装例です。実際の開発では公式ドキュメントを参照してください。
// custom-mcp-server.ts
import { MCPServer } from '@anthropic/mcp-sdk';
const server = new MCPServer({
name: 'company-wiki',
version: '1.0.0',
tools: [
{
name: 'search-wiki',
description: '社内Wikiを検索',
parameters: {
query: { type: 'string', required: true }
},
handler: async ({ query }) => {
// 社内Wiki APIを呼び出し
const results = await companyWiki.search(query);
return results;
}
}
]
});
server.start();
この開発には、 agent-sdk-devプラグインが役立ちます。

プラグインタイプ4:Hooks──Claude Codeの動作をカスタマイズ
Hooksとは何か?
Hooksは、Claude Codeのワークフローの特定ポイントで独自の処理を実行できる機能です。イベントドリブンなカスタマイズが可能になります。
公式プラグイン:security-guidance
security-guidanceは、セキュリティに関するリマインダーを自動的に提供するHookプラグインです。
インストール方法:
# インストール
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
/plugin install security-guidance
# 使い方
# 自動的に起動、特定のキーワードやコード変更でセキュリティガイダンスを提示
security-guidanceの機能:
- 機密情報の検出:パスワード、APIキー等のハードコーディング検出
- 脆弱性パターンの警告:SQLインジェクション、XSS等のリスク指摘
- セキュリティベストプラクティス提案:適切な対処方法の提示
- コミット前チェック:機密情報を含むコミット防止
実際の動作例:
# 例1:ハードコーディングされたAPIキー検出
const API_KEY = "sk-1234567890abcdef"; // ❌
# security-guidanceが自動検出:
# "⚠️ セキュリティリマインダー:
# APIキーがハードコーディングされています。
# 環境変数(process.env.API_KEY)を使用してください。"
# 例2:SQLインジェクション脆弱性
const query = `SELECT * FROM users WHERE id = ${userId}`; // ❌
# security-guidanceが自動検出:
# "⚠️ セキュリティリマインダー:
# SQLインジェクションの脆弱性があります。
# プリペアドステートメントを使用してください。"
利用可能なHookポイント
自作Hooksを作成する場合、以下のHookポイントが利用できます:
Hook名 | タイミング | 活用例 |
---|---|---|
before-code-generation | コード生成前 | コーディング規約の注入 |
after-code-generation | コード生成後 | 自動フォーマット、lint実行 |
before-commit | コミット前 | セキュリティスキャン |
after-test-run | テスト実行後 | カバレッジレポート生成 |
自作Hookの作成
独自のHookを作成する例:
📝 注意: 以下は実装例です。実際の開発では公式ドキュメントを参照してください。
// .claude/hooks/team-notification.ts
export default {
name: 'team-notification',
// コード生成後に実行
'after-code-generation': async (context) => {
// 生成されたファイルを確認
const files = context.generatedFiles;
// 重要なファイルの変更をSlackに通知
if (files.some(f => f.includes('src/auth'))) {
await slack.notify({
channel: '#dev-alerts',
message: `認証コードが変更されました: ${files.join(', ')}`
});
}
},
// コミット前に実行
'before-commit': async (context) => {
// TODOコメントがあれば警告
const hasTODO = context.stagedFiles.some(
file => file.content.includes('// TODO')
);
if (hasTODO) {
context.warn('TODOコメントが残っています。本当にコミットしますか?');
}
}
};

実践:5つのプラグインを使った完全なワークフロー
公式の5つのプラグインを組み合わせた、実際の開発ワークフローを紹介します。
ステップ1:初期セットアップ
# 公式マーケットプレイスを追加
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
# 5つのプラグインをインストール
/plugin install commit-commands
/plugin install feature-dev
/plugin install pr-review-toolkit
/plugin install agent-sdk-dev
/plugin install security-guidance
# Claude Codeを再起動(pr-review-toolkit用)
/restart
ステップ2:新機能開発
# feature-devで機能開発
/agent feature-dev "ユーザープロフィール編集機能を実装してください"
# feature-devが:
# 1. 要件整理
# 2. UI/API設計
# 3. コード実装
# 4. テスト生成
# 5. ドキュメント作成
# security-guidanceが自動的に:
# - 脆弱性チェック
# - セキュリティリマインダー提示
ステップ3:コードレビュー
# pr-review-toolkitで包括的レビュー
"PRを作成する前に、以下をレビューしてください:
1. テストカバレッジ
2. エラーハンドリング
3. コメントの正確性
4. コード品質全般"
# 自動的に:
# - pr-test-analyzer: テスト十分性確認
# - silent-failure-hunter: エラー処理チェック
# - comment-analyzer: ドキュメント整合性
# - code-reviewer: 総合レビュー
ステップ4:コミット
# commit-commandsで適切なコミットメッセージ生成
/commit "プロフィール編集機能を追加"
# commit-commandsが:
# - 変更内容を分析
# - Conventional Commits形式でメッセージ生成
# - セキュリティチェック実行
# security-guidanceが:
# - コミット前の最終チェック
# - 機密情報の検出
ステップ5:PR作成
# GitHubでPR作成
# code-reviewerで最終確認
"PR作成前の最終確認をお願いします"
# PR作成後、チームレビュー
このワークフローの効果:
- 開発速度:手作業より3-5倍高速
- コード品質:複数の専門エージェントによる多角的チェック
- セキュリティ:自動的な脆弱性検出
- チーム標準:コミットメッセージ、コーディング規約の自動準拠

自作マーケットプレイスの作成──チーム共有の実践
マーケットプレイスの構造
チーム専用のプラグインマーケットプレイスを作成し、社内標準をプラグインとして共有できます。
マーケットプレイスを作成するには、.claude-plugin/marketplace.json
ファイルを作成します:
{
"name": "my-company-plugins",
"version": "1.0.0",
"description": "社内開発用プラグイン集",
"plugins": [
{
"id": "company-auth",
"name": "Company Auth Helper",
"type": "subagent",
"description": "社内認証システムとの統合",
"version": "1.2.0",
"source": "https://github.com/mycompany/claude-plugins/tree/main/auth"
},
{
"id": "api-standards",
"name": "API Standards Enforcer",
"type": "hook",
"description": "社内APIガイドライン強制",
"version": "2.0.1",
"source": "https://github.com/mycompany/claude-plugins/tree/main/api-standards"
}
]
}
GitHubでのホスティング
# リポジトリ構造
my-company-plugins/
├── .claude-plugin/
│ └── marketplace.json
├── auth/
│ ├── agent.ts
│ └── README.md
├── api-standards/
│ ├── hook.ts
│ └── config.schema.json
└── README.md
チームメンバーは以下で利用できます:
# 社内マーケットプレイスを追加
/plugin marketplace add mycompany/claude-plugins
# 利用可能なプラグインを確認
/plugin list --available
# プラグインをインストール
/plugin install company-auth
新メンバーのオンボーディング簡素化
# 新メンバーが実行するコマンド(1回のみ)
/plugin marketplace add mycompany/claude-plugins
/plugin install team-starter-pack
# team-starter-packには以下が含まれる:
# - 社内コーディング規約Hook
# - 社内API統合MCP設定
# - チーム標準のコミットコマンド
# - セキュリティチェックHook
これにより、新メンバーの環境構築時間が 数日から数分に短縮されます。

プラグイン管理のベストプラクティス
1. 必要な時だけ有効化
全てのプラグインを常時有効にすると、Claude Codeの起動が遅くなる可能性があります。
# 現在有効なプラグインを確認
/plugin status
# 不要なプラグインを無効化
/plugin disable agent-sdk-dev # SDK開発時以外は無効
# 必要な時に再度有効化
/plugin enable agent-sdk-dev
2. プラグインの定期更新
# 更新可能なプラグインを確認
/plugin list --updates
# プラグインを更新
/plugin update pr-review-toolkit
# 全プラグインを一括更新
/plugin update --all
3. プラグイン使用統計の確認
# どのプラグインをよく使っているか確認
/plugin stats
# 出力例:
# pr-review-toolkit: 45回使用(過去30日)
# feature-dev: 12回使用
# commit-commands: 89回使用
# security-guidance: 自動起動
# agent-sdk-dev: 3回使用
使用頻度の低いプラグインはアンインストールを検討しましょう。
4. チーム標準プラグインセットの共有
# チーム推奨プラグインをREADMEに記載
## 推奨プラグイン
# 基本セット(全員必須)
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
/plugin install commit-commands
/plugin install pr-review-toolkit
/plugin install security-guidance
# フロントエンド開発者向け
/plugin marketplace add mycompany/frontend-tools
/plugin install react-helper
# バックエンド開発者向け
/plugin marketplace add mycompany/backend-tools
/plugin install api-designer

トラブルシューティング──よくある問題と解決法
問題1:プラグインがインストールできない
症状:
Error: Failed to install plugin 'feature-dev'
解決法:
# 1. マーケットプレイスが追加されているか確認
/plugin marketplace list
# 2. ネットワーク接続確認、マーケットプレイス更新
/plugin marketplace refresh
# 3. 再インストール
/plugin install feature-dev
問題2:プラグインが動作しない
症状:プラグインをインストールしたが、コマンドが認識されない
解決法:
# プラグインが有効になっているか確認
/plugin status feature-dev
# 無効になっていた場合、有効化
/plugin enable feature-dev
# Claude Codeを再起動(特にpr-review-toolkit)
/restart
問題3:pr-review-toolkitのエージェントが起動しない
症状:pr-review-toolkitインストール後、エージェントが認識されない
解決法:
# pr-review-toolkitは再起動が必須
/restart
# 再起動後、エージェント確認
/plugin info pr-review-toolkit
# それでも認識されない場合、再インストール
/plugin uninstall pr-review-toolkit
/plugin install pr-review-toolkit
/restart
セキュリティ考慮事項──安全なプラグイン利用
信頼できるマーケットプレイスの選択
- 公式マーケットプレイス:Anthropic審査済み(anthropics/claude-code)
- 社内マーケットプレイス:セキュリティチームの承認済み
- 検証済みコミュニティ:Star数、ダウンロード数、メンテナンス状況を確認
プラグインの権限確認
# プラグインが要求する権限を確認
/plugin permissions feature-dev
# 出力例:
# ✓ ファイルシステム読み取り
# ✓ ファイルシステム書き込み
# ✓ ネットワークアクセス(github.com)
# ✗ 環境変数アクセス(拒否)
プラグインコードのレビュー
重要なプラグインは、ソースコードを確認してからインストール:
# プラグインのソースコードを表示
/plugin source feature-dev
# GitHubリポジトリを開く
/plugin repo feature-dev

今後の展望──プラグインエコシステムの未来
予測される進化
- AIエージェントマーケットプレイス:専門分野特化型エージェントの市場
- 企業向けプライベートマーケットプレイス:セキュアな社内共有
- プラグインの自動推奨:プロジェクトに最適なプラグインをAI提案
- クロスプラットフォーム対応:VS Code、JetBrains等でも利用可能に
- MCPサーバープラグイン化:1コマンドでMCPサーバー統合
コミュニティの役割
- オープンソースプラグインの増加:GitHub上での共有
- ベストプラクティスの共有:成功事例の蓄積
- フレームワーク統合:Next.js、React等の公式プラグイン
- 業界特化プラグイン:金融、医療、教育等の専門プラグイン
まとめ:/pluginコマンドが変える開発の未来
Claude Codeの /pluginコマンドは、AI開発ツールのエコシステムを根本から変える可能性を秘めています。
5つの核心ポイント
- 1コマンドでインストール:複雑な設定不要、即座に利用開始
- 4つのプラグインタイプ:スラッシュコマンド、サブエージェント、MCP、Hooks
- 公式プラグイン5つ:commit-commands, feature-dev, pr-review-toolkit, agent-sdk-dev, security-guidance
- チーム共有が容易:マーケットプレイスURLを共有するだけ
- 拡張性:誰でもプラグインを作成・公開可能
開発者への3つのアクション
- 公式プラグインを試す:`/plugin marketplace add anthropics/claude-code`
- チーム用プラグインセットを構築:社内標準をプラグイン化
- コミュニティに貢献:有用なプラグインをオープンソース化
/pluginコマンドにより、「開発環境のセットアップに数日」から「数分」へ、「チーム標準の伝達に数週間」から「1コマンド」へ──開発体験が劇的に変わります。
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情報源:
– Anthropic公式ブログ: Claude Code Plugins発表
– Claude Code公式ドキュメント: Plugin Marketplaces
– GitHub公式リポジトリ: anthropics/claude-code
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