NVIDIA株9,000億円売却の衝撃:ソフトバンクG・ティール氏が決算前に撤退も、GPU需要は不変の理由

2025年11月、NVIDIA株に激震が走りました。ソフトバンクグループ(SBG)が約9,000億円、伝説的投資家ピーター・ティール氏が約155億円——大口投資家による大規模な売却が、米国時間11月19日の第3四半期決算発表直前に明らかになったのです。

この動きは、NVIDIA株を保有する多くの投資家に不安を与えています。決算前のこのタイミングでの売却は、「内部情報を知る者による撤退」と解釈される可能性があり、市場心理を大きく揺さぶっています。

しかし、AI業界の最前線を追うチャエン氏(@masahirochaen)は、「DeepSeekショックの時も気にせず買い増して結果伸びた」と冷静な姿勢を崩していません。その理由は明確です——大規模推論には大量のGPUが必要であり、この需要は数年で消えることはないからです。

この記事では、大口投資家売却の詳細、決算前売却の真意、GPU需要が不変である5つの理由、そしてDeepSeekショックの教訓を徹底解説します。

チャエン氏のX投稿より:
@masahirochaen

「強者によるNVIDIA株の売りが止まらない。ソフトバンクG:約9,000億円、ピーター・ティール氏:約155億円と、大口投資家の売りがすごい。米国時間11月19日の決算前にこの動きは不吉。ただ、DeepSeekショックの時も気にせず買い増して結果伸びたので、今回も下がろうが淡々とNVIDIAベットで進む所存。」

引用元:X (Twitter)

目次

衝撃の売却規模:ソフトバンクG 9,000億円、ティール氏155億円

今回明らかになった売却の規模は、個人投資家から機関投資家まで、あらゆる市場参加者に衝撃を与えています。

大口投資家売却の詳細

投資家 売却額 特記事項
ソフトバンクグループ 約9,000億円 Vision Fundの運用戦略変更か
ピーター・ティール氏 約155億円 Founders Fundのポートフォリオ調整
合計 約9,155億円 決算発表直前のタイミング
NVIDIA株大口投資家売却額の比較

9,000億円という金額は、ソフトバンクグループにとっても巨額です。孫正義氏率いるSBGは、これまでAI関連企業への積極投資で知られてきましたが、今回の売却は投資戦略の大きな転換点を示唆している可能性があります。

なぜ決算前に売却したのか?

決算発表直前の売却には、通常以下のような理由が考えられます。

  • 利益確定のタイミング:株価が高値圏にあると判断
  • ポートフォリオ調整:リスク分散のため集中度を下げる
  • 流動性確保:他の投資機会への資金振り向け
  • 決算内容への懸念:内部情報に基づく判断(ただし違法)

チャエン氏が「決算前にこの動きは不吉」と述べているように、このタイミングでの売却は市場に不安を与えるのは避けられません。

決算前売却の真意:ポジティブ解釈とネガティブ解釈

今回の売却をどう解釈すべきか?市場には2つの見方があります。

ポジティブ解釈:利益確定と戦略転換

解釈 根拠
利益確定タイミング NVIDIA株は2024-2025年で大幅上昇、高値圏での売却は合理的
ポートフォリオ分散 集中投資リスクを下げ、他のAI関連投資へ振り向け
流動性確保 新たな投資機会(AI インフラ、ロボティクスなど)への資金
戦略転換 GPUからソフトウェア・アプリケーション層へのシフト
NVIDIA株売却のポジティブ解釈

ネガティブ解釈:市場への警告シグナル

懸念 リスク
決算内容への不安 売上・利益見通しが市場予想を下回る可能性
競合激化の兆候 AMD、Intel、カスタムチップ(Google TPU等)の台頭
AI投資バブル懸念 過剰投資による需要減速の可能性
中国市場制限 輸出規制強化による売上減少

しかし、チャエン氏は「DeepSeekショックの時も気にせず買い増して結果伸びた」という過去の経験から、今回も冷静な判断を下しています。

DeepSeekショックの教訓:パニック売りは機会損失

チャエン氏が言及する「DeepSeekショック」とは、中国のAIスタートアップDeepSeekが効率的なAIモデルを発表し、NVIDIA株が一時的に急落した事件です。

DeepSeekショックの経緯

  • 2025年1月:DeepSeekが低コストで高性能なAIモデルを発表
  • 市場の反応:「GPUが大量に不要になる」との懸念で NVIDIA株急落
  • チャエン氏の行動:パニック売りに流されず、むしろ買い増し
  • 結果:株価は数週間で回復し、さらに上昇
DeepSeekショック後のNVIDIA株価回復

DeepSeekショックから学ぶべき教訓

チャエン氏の投資哲学:

  • 短期的なパニックに流されない:市場の過剰反応は一時的
  • ファンダメンタルズ重視:GPU需要の本質は変わっていない
  • 逆張りの勇気:みんなが売るときこそ買い時
  • 長期視点:数ヶ月~数年単位で成長を見る

今回の大口売却も、DeepSeekショックと同じく一時的な調整局面である可能性が高いとチャエン氏は見ています。

GPU需要が不変である5つの理由

チャエン氏が「NVIDIAベットを続ける」理由は明確です。大規模推論には大量のGPUが不可欠であり、この構造はここ数年で変わることはありません。

理由1:大規模推論の爆発的需要

AI業界は現在、「トレーニング」から「推論」へとシフトしています。特に以下の企業の動向が重要です。

企業 推論需要 理由
OpenAI 極大 ChatGPT有料ユーザー拡大、黒字化には数億ユーザー必要
Anthropic Claude企業向け展開、エンタープライズ市場シェア32%
Google (Gemini) Gmail、Google検索への統合で数十億ユーザーに展開
xAI (Grok) 中~大 Xプラットフォーム統合、数億ユーザー基盤
大規模推論によるGPU需要の拡大

チャエン氏が指摘するように、「OpenAIの黒字化にはもっと大量のユーザー基盤が必要」であり、そのためには膨大な推論計算が不可欠です。

理由2:効率的モデルでもGPU総需要は減らない

DeepSeekのような効率的なAIモデルが登場しても、「1ユーザーあたりのGPU使用量」は減りますが、「総ユーザー数」が爆発的に増加します。

チャエン氏の分析:

「たとえ、中国で効率の良いAIモデルが生まれても、大量のユーザーに届けるには結局は“大規模推論”が必要で、大量のGPUニーズは続くと見ている。」

理由3:ロボティクスの本格稼働

AI需要はソフトウェアに留まらず、ロボットが本格稼働すれば尚更拡大します。

  • テスラのOptimus:工場・物流での大規模展開計画
  • Figure AI:BMW工場での人型ロボット導入
  • Boston Dynamics:Stretch、Spotの商用展開
  • 中国企業:Unitree、Agility Roboticsなどの急成長

これらのロボットは、リアルタイム推論のためにエッジGPUまたはクラウドGPUを大量に必要とします。

理由4:マルチモーダルAIの普及

テキストだけでなく、画像、動画、音声を統合処理するマルチモーダルAIは、従来の数倍~数十倍の計算資源を必要とします。

  • GPT-4V、Claude 3、Gemini Ultra:画像理解機能
  • Sora、Runway Gen-3:動画生成
  • ElevenLabs、Whisper:音声合成・認識
マルチモーダルAIによるGPU要件の増大

理由5:AI インフラ投資の継続

主要クラウドプロバイダーとAI企業の設備投資は減速する兆しがありません

企業 2025年AI投資額 GPU調達計画
Microsoft 約800億ドル H100/H200大量調達、Azure AI拡張
Google 約500億ドル TPU v6と並行してNVIDIA GPU調達
Meta 約400億ドル Llama 4トレーニング用に35万GPU以上
Amazon (AWS) 約600億ドル Trainium2と並行してH200調達

これらの投資の大部分がNVIDIA GPUの購入に向けられています。

ソフトバンクGの戦略転換:ARM・AI インフラへのシフト

ソフトバンクグループが9,000億円を売却した背景には、投資戦略の大きな転換がある可能性があります。

考えられるSBGの新戦略

  • ARM強化:AI専用チップ市場への本格参入
  • AI インフラ投資:データセンター、エネルギー効率化技術
  • ソフトウェア層へのシフト:アプリケーション・プラットフォーム企業への投資
  • 日本AI市場:国内AI産業育成への集中
ソフトバンクG投資戦略のシフト

孫正義氏は過去にも、「大きな転換期には大胆に動く」ことで知られています。今回の売却も、次の大きな波を捉えるための準備かもしれません。

ピーター・ティール氏の動向:Founders Fundの視点

伝説的投資家ピーター・ティール氏(PayPal共同創業者、Palantir創業者)の155億円売却も注目されます。

ティール氏の投資哲学

ティール氏の投資原則:

  • 「0→1」の企業に投資:既存市場ではなく新市場創造
  • 独占的地位の確立:競争を避け、唯一無二の価値提供
  • 長期視点:10年スケールでの成長を見る
  • 適切な出口戦略:高値での利益確定も躊躇しない

今回の売却は、「NVIDIAが既に独占的地位を確立し、次のフェーズへ移行した」と判断した可能性があります。Founders Fundは次の「0→1」企業を探しているのかもしれません。

Q3決算の注目ポイント:市場予想と実績

米国時間11月19日に発表されるNVIDIA第3四半期決算では、以下のポイントが注目されます。

市場予想(アナリスト平均)

項目 予想値 前年同期比
売上高 約340億ドル +83%
純利益 約180億ドル +90%
データセンター売上 約300億ドル +100%
粗利益率 75% 維持
NVIDIA Q3決算の市場予想

サプライズ要因(ポジティブ)

  • Blackwellチップ出荷開始:次世代GPU販売の本格化
  • 自動車・ロボティクス売上増:新市場からの収益貢献
  • 中国以外の地域成長:米国・欧州・日本での拡大
  • ソフトウェア売上増加:CUDA、NIM、Omniverse等

サプライズ要因(ネガティブ)

  • 供給制約:需要に対する生産能力不足
  • 中国規制影響:予想以上の売上減少
  • 競合プレッシャー:AMD、カスタムチップの影響
  • 粗利益率低下:価格競争の激化

投資家はどう動くべきか:3つのシナリオ

今回の大口売却と決算を踏まえ、投資家が取りうる戦略を3つのシナリオで整理します。

シナリオ1:強気継続(チャエン氏型)

戦略 実行内容
保有継続 現在のポジションを維持、短期的な下落を無視
押し目買い増し 決算後の下落を買い増しのチャンスと捉える
長期ホールド 5年以上の視点で保有、GPU需要の本質を信じる

シナリオ2:慎重派(部分利益確定)

戦略 実行内容
部分売却 ポジションの30-50%を利益確定
リバランス 他のAI関連銘柄(AMD、ASML等)へ分散
決算待ち 決算内容を見てから判断

シナリオ3:弱気転換(全売却)

戦略 実行内容
全ポジション解消 大口売却を警告シグナルと捉え、全売却
現金確保 次の投資機会まで待機
他セクターへ移行 AI以外の成長セクターへシフト

チャエン氏は明確にシナリオ1(強気継続)を選択しています。その根拠は、GPU需要の本質的な成長トレンドが変わっていないという確信です。

まとめ:大口売却に動じない理由

ソフトバンクグループの9,000億円、ピーター・ティール氏の155億円——合計9,155億円という衝撃的な大口売却がNVIDIA株に対して実行されました。決算発表直前のこのタイミングは、確かに不吉に見えます。

この記事の重要ポイント

  • 大口売却の規模:SBG 9,000億円 + ティール氏155億円 = 9,155億円
  • 決算前タイミング:11月19日Q3決算直前という不吉なタイミング
  • DeepSeekショックの教訓:パニック売りせず買い増しで成功
  • GPU需要は不変:大規模推論、ロボティクス、マルチモーダルAIで需要継続
  • 主要AI企業の動向:OpenAI、Anthropic、Gemini、xAIが大量GPU使用
  • 投資戦略転換の可能性:SBGはARM・AI インフラへシフトか
  • ティール氏の出口戦略:独占確立後の利益確定は合理的

チャエン氏が「下がろうが淡々とNVIDIAベットで進む」理由は明確です。効率的なAIモデルが登場しても、大量のユーザーに届けるには結局”大規模推論”が必要であり、大量のGPUニーズは数年で消えることはないからです。

OpenAI、Anthropic、Gemini、xAIなどの動きを見れば、AI産業の成長はまだ初期段階であり、ロボティクスの本格稼働を考えれば、GPU需要はさらに拡大する可能性すらあります。

大口投資家の売却は確かに注意が必要ですが、ファンダメンタルズが変わっていなければ、むしろ買い増しのチャンス——DeepSeekショックで学んだこの教訓は、今回も有効かもしれません。

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